平和の礎


所在地   〒901-0333 沖縄県糸満市字摩文仁444番地

      県営平和祈念公園内

設置者   沖縄県

指定管理者 公益財団法人沖縄県平和祈念財団

建立年月  1995年6月  

 

 沖縄戦で犠牲になった朝鮮半島出身者が462名(2017年6月23日現在)刻銘されている。現在は朝鮮人民共和国と大韓民国の二つの国に分けられている。沖縄戦で犠牲になった朝鮮人は相当数にのぼるとみられるが、その実態は明らかにされておらず、日本政府も本格的な調査をしていない。ここに刻銘されている朝鮮人犠牲者は、犠牲の実態に比してあまりにも少なく、一部に過ぎない。平和の礎事業の残された課題である。

朝鮮人刻銘が進まない理由は、死亡者の調査が進んでいないということ、韓国、北朝鮮国内で、沖縄の「平和の礎」への刻銘事業がほとんど知られていないということ、遺族自身が、肉親が沖縄で死亡したと知らない場合も多いこと、また一部では日本の慰霊塔に名前を入れたくないとする遺族がいるということ、などがあげられる。また、朝鮮人の犠牲者は殆んどが「行方不明」とされ、いまだに正式な戦死認定を受けていないということがある。沖縄県の刻銘基準では、沖縄戦で死亡したことが証明できる正式な書類が必要条件となっていた。2017年度刻銘申請が出された権云善(クォンウンソン)さんと朴煕兌(パクフィテ)さんは、特設水上勤務隊に配属され、沖縄戦に動員されたが遂に家族のもとに帰ることはなく、明らかに沖縄戦の犠牲者であることははっきりしていたが、日本の厚生省は「生死不明」という認定をしていた。そのため沖縄県はこうした国の基準を当てはめ、書類不備として刻銘申請を受理しなかった。恨之碑の会ではこれを問題視、実際に即して刻銘をするよう、粘り強く要請行動を行った。その結果、遂にお二人ともに平和の礎に刻銘されることになった。沖縄県が柔軟な姿勢に変わった。これをきっかけに朝鮮人犠牲者の刻銘が一層進むことが期待されている。

 

平和の礎について (平和記念公園ホームページより)

《解説》

(1)「平和の礎」は、太平洋戦争・沖縄戦終結50周年記念事業の一環として、国籍を問わず、また、軍人、民間人の別なく、全ての戦没者の氏名を刻んで、永久に残すため、平成7年(1995年)6月に建設したものです。  その趣旨は、沖縄戦などでなくなられた全ての戦没者を追悼し、恒久平和の希求と悲惨な戦争の教訓を正しく継承するとともに、平和学習の拠点とするためです。  なお、「礎(いしじ)」とは、建物などの基礎の「いしずえ」を沖縄の方言で「いしじ」と発音することに由来するものです。平和創造の「いしずえ」となることを期待して付けられたものです。

 

(2)「平和の礎」のデザインコンセプトは、“平和の波永遠なれ(Everlasting waves of peace)”となっておりまして、屏風状に並んだ刻銘碑は世界に向けて平和の波が広がるようにとの願いをデザイン化したものです。

 

(3)平和祈念公園から平和の広場に通ずるメイン通路は、その中心線が6月23日の日の出の方位に合わせて設置されています。6月23日は沖縄での組織的戦闘の終結した日で、沖縄県では「慰霊の日」と定め、県民の休日となっております。慰霊の日には、平和祈念公園で全沖縄戦没者追悼式が開催されます。  

 

(4)メイン通路の奥には平和の広場があり、中央には「平和の火」が設置されています。この「平和の火」は、世界の恒久平和を願い、沖縄戦で米軍が最初に上陸した沖縄県座間味村の阿嘉島で採取した火と、広島市の「平和の灯(ともしび)」、長崎市の「誓いの火」から分けていただいた火を合わせ、平成7年1995年6月23日の「平和の礎」除幕式典において、ここに点したものです。  種火は、平和の広場の地下に大事に保存しております。  

 

(5)「平和の礎」には、沖縄戦で亡くなられた、一人ひとりのお名前が刻まれております。  ただし、沖縄県出身者については、昭和6年(1931年)の満州事変に始まる15年戦争の期間中に、県内外で戦争が原因で亡くなられた方々が刻銘されております。  刻銘の方法は、それぞれの母国語で表記しており、国別、都道府県別となっております。 

 

メイン園路  

メイン園路は、その中心線が6月23日の「慰霊の日」における日の出の方位に合わせて設定されています。 

平和の広場 

平和の広場は、断崖絶壁から海岸線、波打ち際を眺望できる位置に設置されています。 広場の中央には「平和の火」が灯されています。この「平和の火」は、沖縄戦最初の上陸地である座間味村阿嘉島において採取した火と被爆地広島市の「平和の灯」及び長崎市の「誓いの火」から分けていただいた火を合火し、1991年から灯しつづけた火を、1995年6月23日の「慰霊の日」にここに移し、灯したものです。  

デザインコンセプト

鉄の暴風の波濤が、平和の波となって、わだつみに折り返し行くコンセプト   

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2017年6月23日現在 平和の礎刻銘者      

沖縄県         149,456

県外都道府県       77,425

米国(U.S.A)    14,009

英国(U.K)        82

台湾             34

朝鮮民主主義人民共和国    82 

大韓民国           380

(朝鮮半島出身者合計 462)

           合計241,468